大阪地方裁判所 昭和42年(ワ)6955号 判決
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〔判決理由〕(2) 精神分裂病と本件事故との因果関係
<証拠>によると、原告は昭和三六年ごろ約八か月間、昭和四〇年四月から一〇月まで約六か月半、いずれも精神分裂病の治療を受けるため入院したことがあるが、本件事故当時は完全寛解の状態にあつたこと、本件事故後右坐骨々折等の外傷治療のため瀬田外科病院に入院中精神異常を疑わせる行動が現われたので、事故による右外傷がほぼ治ゆした昭和四二年九月一一日から国分病院に転入院していること、原告の右精神異常は以前の精神分裂病の再発と診断されているが、同病の再発は右外傷自体に起因するものでなく、外傷の治療のため入院し生活が単調になつたという環境の変化がその主因をなしていることが認められる。
とすると、原告の右精神分裂病の再発と本件事故との間に因果関係を認めるべきであるが、原告がそのため長期間にわたり入院して受けた損害は、本件事故によつて通常生ずべき損害の範囲を越え、特別の事情によつて生じた損害であるといわなければならない。しかるところ、証人住野公昭の証言によると、事故前の原告のように精神分裂病が寛解状態にあつて通常人とほとんど変わらない生活を送つている者は必ずしも少なくないことがうかがわれるので、被告としては一般人のうちに原告のような精神分裂病の寛解状態にある者が、存在することを予見し、または予見することができたものといわなければならない。したがつて、被告は原告が前認定の外傷および精神分裂病の再発により受けた損害の全部を賠償すべき義務がある。(谷水央)